食べる宝石「さくらんぼ」キュートな姿で目も舌も楽しませてくれます。
バラ科サクランボ属の「さくらんぼ」は姿形も愛らしい初夏を告げる使者です。
多くの果物がハウス栽培などで旬をなくしましたが、「さくらんぼ」は別。5月から7月上旬と短い期間に私たちの目や舌を楽しませてくれます。
ただし、4月の初物の時期には一粒が数百円から数千円と高く、庶民には手の届きかねる代物です。
さくらんぼの栽培種には甘果桜桃(かんかおうとう)と呼ばれる生食用の甘みの強いものと、酸果桜桃(さんかおうとう)と呼ばれ主に加工用に用いられる酸味や苦味のあるものがあります。
酸果桜桃による加工品にはジャムやパイ、缶詰めやマラスキーノチェリー、製菓用の砂糖漬けやさくらんぼ酒、キルシュワッサー(さくらんぼの蒸留酒)などいろいろあり、欧米では利用価値の高いものになっていますが、日本ではほとんど栽培されていません。
日本では「さくらんぼ」といえば「佐藤錦」といわれるほど有名な佐藤錦は、「ナポレオン」と「黄玉」という品種の交配種で日本生まれの品種です。国内での生産量は第一位で、大粒で形がよく甘みと酸味の兼ね合いも絶妙です。いかにも「私高いわよ」と言わんばかりの、美しく箱に詰められた様はまさに「箱入り娘」。食べる方も心してお召し上がりください。
これに対して庶民的な安心価格のアメリカンチェリー。一つの品種だと思っていませんか? 大粒で赤紫色の品種が多いのは確かですが、「ビング」 「ラムバート」 「レーニア」などアメリカから輸入されるさくらんぼの総称で、一つの品種の名前ではありません。
この他、日本に最初に導入された「高砂」や「ナポレオン」など数十種類の品種が日本でも栽培されています。
さくらんぼは、成熟期に雨に遭うと実割れするので、その時期に雨の少ないことが栽培地の必須条件となります。日本では、山梨や山形を中心とする東北地方や北海道が特産地です。