アダムとイブが使った葉っぱは「いちじく」、花を食べる不思議な果物でもあります
いちじくは果物の中では最も歴史が古く、紀元前5世紀以前からあったといわれ、聖書にも「失楽園」のところで出てきます。そう、裸のアダムとイブが初めて腰のあたりにつけたものが「いちじく」の葉っぱです。
「いちじく」は漢字では「無花果」と書かれますが、これは花が咲かないうちに実がなるところからきています。また、「いちじく」という呼び名のほうは、実がなってから一ヶ月で熟す、もしくは一日に一個ずつ熟すところから「一熟」と名づけられたとも言われています。
花がないと言われますが、実は私たちが食べているいちじく自体が花托「かたく」(花やめしべがつく部分)の肥大したものであり、花も含めて食べていると言うことになるわけです。
いちじくには夏と秋の2回旬がありますが、これはこの年できた実が秋に熟し、その年枝に残った幼果が小さいままで越冬し、次の年の夏に熟すところからで、この点でも珍しい果物と言えるでしょう。ちなみに味は秋のいちじくのほうがおいしいと言われています。
いちじくは中国では五痔(五種類の痔)を治す薬用植物として有名です。食べることで便通が良くなり、葉や実の根本を切った時に出る白い液を塗ると、皮膚を柔らかく滑らかにすると言われています。この液はイボ取りの薬にもなるそうです。果汁にも同じような効果が見られ、角質化したひじやひざ、かかとに1〜2週間塗り続けると、潤いが出てくるそうです。