「しそ」はさわやかな風味、豊かな栄養、優れた薬効を持つ「和製ハーブ」です。
「しそ」は中国やヒマラヤあたりが原産と言われていますが、わが国にも5000年以上も前の縄文時代の遺跡から「しその実」が発見されており、遠い昔から私たちの口になじんできた「香味野菜」です。
「しそ」には別名「大葉」(おおば)と呼ばれる「青じそ」と紅紫色の「赤じそ」があります。葉の表が緑で裏が紫色の「片面じそ」と呼ばれるものもあるようですが、店頭で見かけることはほとんどありません。「青じそ」「赤じそ」ともに縮れの強い「縮緬じそ」{ちりめんじそ}と呼ばれるものがあり、特に「赤じそ」では縮れの強いものが良品とされています。
「青じそ」は「赤じそ」よりも香りが高く、主に薬味や天ぷらなどに使われます。「赤じそ」の方はほとんどが梅干などの着色用で、梅干に利用した後の「赤じそ」を干して粉状にしたものが「ゆかり」です。
また、発芽したばかりの若芽を「芽じそ」と呼び、「青じそ」の若芽を「青芽」(あおめ)、「赤じそ」の若芽を「紫芽」(むらめ)と呼びます。どちらも汁物の吸い口や刺身のつまに使われますが、「紫芽」の方が辛味が強いようです。
「青じそ」がさらに成長し、花をつけ始めた穂を「花穂じそ」と呼び、栽培物では花が三割ほど開いたものを使います。これがさらに成長し、未熟なしその実をつけたものを「穂じそ」と呼び、両方とも刺身のつまなどに使われます。食べるときは穂から花や実をしごき取って食べてください。
しそはとても強い植物で、まるで雑草のように育ちます。東洋医学ではそのような意味からもよみがえる葉と書いて「紫蘇」(そよう)と呼び、薬草として使われてきました。赤じその色はシソニンと言う成分です。この色素は水溶性で、酸と反応すると安定で美しい赤色に変化します。梅干しの色は赤じその色素と梅のクエン酸によって生まれる自然の色です。