一般に出回っている「えびすかぼちゃ」のようにホクホクした食感ではなくややベチャっとした肉質。美しい朱色と玉ねぎのような形が特徴。小ぶりなものが多いので詰め物にも向いているが、余分な甘さが無いのでサラダや炒め物などにも向く。美しい色を生かした料理にトライ。菓子の素材としても良さそう。
かぼちゃは大きく分けると「日本かぼちゃ」「西洋かぼちゃ」「ペポかぼちゃ」の3つに分かれます。「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は「西洋かぼちゃ」の一種ですが、「西洋かぼちゃ」は肉質が栗のようにホックリしているところから「栗かぼちゃ」とも言われます。
「西洋かぼちゃ」には黒皮、赤皮、白皮、青皮がありますがほとんどが黒皮系の品種です。「日本かぼちゃ」は肉質が粘質(いわゆるベチャベチャした果肉)で、「西洋かぼちゃ」の方が断然人気がありますが、「赤皮かぼちゃ」は黒皮や白皮のようにホクホクしていませんし、肉質は「日本かぼちゃ」に近いような気がします。その分煮汁とのなじみも良く、日本料理の炊き合わせなどにはぴったりです。「赤皮かぼちゃ」の美しい色が生きる料理法でもあります。
「打木赤皮甘栗かぼちゃ」は昭和の初めに福島県の「会津赤皮甘栗かぼちゃ」を金沢の打木地区に導入し改良を重ねた結果、優れた品種として認められ一時は全国的に栽培されたそうです。
しかしその後、黒皮栗かぼちゃの「えびす」などの品種改良が進み、市場を席巻し始め、次第に需要がなくなりました。ただ近年では「加賀野菜」の代表選手として認められ、少しずつ需要も伸びてきています。
左の赤かぼちゃが、加賀野菜の「打木赤皮甘栗かぼちゃ」です。右は他県の赤かぼちゃ。違いをご覧になってください。
現在、金沢の70代くらいの人たちの話では、子供の頃はかぼちゃと言えば「日本かぼちゃ」でちっとも美味しくなかったところへ「赤かぼちゃ」が出回り始め、なんとおいしいかぼちゃだろうと思ったそうです。その後ももっとホクホクした黒皮の西洋かぼちゃに取って代わられた訳ですが、ある時期にはかぼちゃと言えば「打木赤皮甘栗かぼちゃ」だった時代があり、「日本かぼちゃ」しか無かったような時代もあったのです。
6月~9月
打木地区