「金時草(きんじそう)」は、熱帯アジア原産の野菜ねんて。日本には18世紀に入って来たがやと。熊本の水前寺あたりだけで作られとったもんやさけ、全国的に通っとる名前は「水前寺菜」っちゅうげんといね。ほやけど金沢では誰がなんちゅうたって「金時草」やわいね。ほんな「水前寺菜」なんちゅうたって 誰がわかるかいね。八百屋かって知らんと思うわ。
だいたい今では本家本元の熊本でも、ほとんど作っとらんちゅう話や。なんでも葉の裏かて紫でねぇげぇといね。
金沢にしたかって、ここらじゃもちろん作っとるけど、ちょこっとだけ離れて小松行ったら、もう誰もほんなもん知らんちゅうげぇぞ。私かって驚いたわいね。
金時草ちゅうがは、ものせん強いもんらして、枝折っても折っても脇から芽出てきて、それがまたでこなるげぇと。なんか都合のいい作物やて。それも、山の日陰のとこ好きねんて。「かた変わり」やちゃ。
ほやけど今じゃ一年中採るがに、だいぶ苦労しとるらしいわ。あんまり暑いといい色出んし、もちろん6月が旬の作物やさけ、寒いがやら雪やら苦手ながやわ。
「金時草(きんじそう)」ちゅう名前は、葉の裏の紫色のこと「金時色(きんときいろ)」っても言うやろ?その字の金時から来とるらしいわ。
今6月やろ。金時草の一番おいしい時ねんて。ま、一年中店行きゃ有るけど、旬の時がやっぱ一番やね。葉の勢いとか色、それに大きさかって立派やよ。ほんな冬場のもんと、比べもんにならんて。食べてみまっし。
食べ方知らんて?ほうかも知れんね。誰やったか金時草のこと知らん人、茎ごと茹でて、茎ゃ硬いし、葉はデロデロんなるし、りくつのないもんやてゆうとったもんね。
茎は食べんがやぞ!葉っぱだけちぎって、さっと茹でて、よー水にさらして酢の物にしてたんまっし。他の食べ方するがにしても葉っぱだけやちゃ、つこうが。茎の食べ方知っとったら、誰か教えてたいまん。頼んとこと。