柿市こぼれ話


【ガメ虫の独り言】

今回も酒屋の話です。酒屋という職業はけっこう体力が要ります。一升瓶やビールの箱を何個も運ばなくてはならないことはしょっちゅうですし、それを積み上げたり下ろしたりが仕事の中でけっこうなウエイトを占めています。

今日も今日とて大量のワインとお茶のペットボトルを、道を挟んで向かい側の本社4階まで運ばなくてはなりませんでした。荷物を積み上げすぎて台車が酒屋から道に出せません。溝の上が鉄板ではなく、鉄のスノコのようなもので覆われているのですが、そこに台車の車輪が引っかかって脱出不可能の状態になってしまうのです。

台車を押していたのは妹ですが手伝ってくれと言うので、仕方なく前に回って台車をも持ち上げながら引っ張りました。ふと、嫌な思い出がよみがえりました。以前にこのような状態で、私の何かに腹を立てた妹が鬼のような顔をして台車で私を轢こうとしたのです。勿論わざとではなかったのでしょうが、私の足に台車が乗り上げようと、私が転ぼうと、妹はまったく気にしませんでした。かえって役に立たない私に対する怒りが倍増したようです。

嫌な予感は大体的中するものです。これもネガティブパワーのなせる業でしょうか?台車を引き上げたまでは良かったのですが、私の人権を無視して押しまくる妹の力に負けて、私はしりもちをついてしまいました。あまつさえ足腰の弱さと、最近とみに丸くなった体のせいで完全にスッ転がって、裏返った亀みたいになってしまったのです。

「何しとるんや?」妹が笑いながら見下しています。何しとるも何も、お前に転ばされているのだよ妹よ。聞くまでも無いことだろう。起き上がってまた台車を押し続けました。私にとってはまったくおかしくも無いことなのに、妹にはよほど楽しい出来事だったようです。笑い続けて仕舞には台車を押す手に力が入らなくなり、道端にしゃがんで笑い転げています。

この騒ぎを聞きつけて本社の社員たちが何人か道に出てきました。「どうしたんですか?」「この人、ガメ虫みたいに転んだんや。」更に笑い続ける妹を見て、「ひどい、ひどすぎる。」と、社員がつぶやいています。「後は自分でやれ!」私は妹と荷物を残して酒屋に帰りました。

荷物をしまって、酒屋に戻ってきた妹が、さっきより更に激しく笑っています。一階に降りてきたら、「お姉さんに向かってナメクジなんて言うのはひどすぎる。」って言われたそうです。

妹いわく「私はナメクジなんて言ってない。ガメ虫って言っただけや。」ナメクジとガメ虫、どちらが上等な生き物なのか私にはよくわかりません。更に言えば、ガメ虫ってどんな虫ですか?その虫、本当に存在する虫ですか?

もう一つ気になるのは、妹を諭した社員の私に対するイメージの中にナメクジが存在するのではないかと言う、うっすらとした不安です。まあ、どうでもいいと言えばいいのですが・・・

更に気になるのは時として妙に凶暴化する妹のことです。普段はクヨクヨの種を拾って歩いているような人なのに・・・ひょっとして、酒の飲みすぎで人格が崩壊しつつあるのかもしれません。クワバラクワバラ・・・


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