柿市こぼれ話


【ちょっとした間違い】
 人間誰しも間違いはある。ほんのちょっとした間違いが妙におかしかったりする。先日も法事の席で、親戚の方が大声で微妙な言い間違いをしていて、壺にはまった。

「あんた、そこの道のところでフリンマーケットしとったぞ。」

「不倫マーケット?どんなマーケットや?わしも行ってみたい。」と、叔父が小さな声でつぶやいた。また受けた。

 何年も前になるが、通りがかりの人がトイレを貸してくれと言って飛び込んできた。よほど切羽詰った状況だったのだろう。勿論貸したが、当社の自社ビル一階には男性用トイレしかない。つまり、小便器しかなかったのだが、その方が借りたかったのは大の方だったらしい。したたか経って出てこられると、お礼の言葉も早々に逃げるように去って行った。小便器の中には大量の物が残されていた。どうやって排便したのか理解不能だが、その人にちょっぴり同情してしまう。これもまたちょっとした間違いの一つだろう。

 当社にはちょっとそそっかしい社員もいる。お客様がお見えになったとき、お茶を出してくれたのは良いのだが、お茶と間違えて素麺のだし汁をお出ししたらしい。他府県ではお茶といえば緑茶らしいが、金沢では普段飲むお茶は『番茶』といわれる茎茶を焙じたお茶なので、見た目だし汁とそっくりなのだ。同じところに紛らわしいものを置いておいた私も悪いのだが、だし汁の容器にはだし汁と書かれたオレンジのテープをぐるぐる巻きつけてあるし、まさか間違われるとは思わなかった。飲む前に臭いで気が付いた母が顔を上げると、悲しい目をしたお客様が自信無げに
「これってお茶じゃないですよね?」とお尋ねになった。そのとおり、お茶ではない。

 そういえば、以前に社長も自宅でお茶と間違えてだし汁を飲んだことがあるらしい。先日は会社で素麺にアイスコーヒーをかけていた。悲しい間違いだが、信じ込んだ味とまったく違うものが口に入ると、かなりの衝撃が走る。

 当社の食堂でも、日々そうしたちょっとした間違いが横行している。胡瓜なますにソースをかけて返品してくる者。「私はソースが好きなんだ。」と、無理な言い訳をしながら食べる者。フリカケを一瓶丸ごとご飯にかけて、お盆の上までなだれ落とす者。御飯茶碗とおつゆ椀をあまりたびたび間違えるので、突っ込まれるのが嫌で両方ともおつゆ椀を使うことにしてしまった者。そしてこれは間違いではないのだが、おにぎりにカレーをかけて食った奴もいる。まったくいろんな人がいて退屈しない。可笑しくて、ちょっと悲しい、うちの会社はそんな会社だ。

 そうそう、さっきも酒屋にいらっしゃったお客様が、若手陶芸家のぐい飲みをお買い求めになろうとなさったが、9000円だと聞くと、一瞬フリーズしてしまった。溶けるのにしばらく時間がかかった。どうやら一桁間違えたらしい。私は作家物である事も、いい値段が付いていることも事前に説明したのだが、そのお客様の耳には届いていなかったらしい。人の話を聞いていない人はけっこう多い。このぐい飲みは景品のかごのすぐそばに置いてあるので、景品だと勘違いしてぬか喜びをする悲しい被害者も生み出している。

うちの酒屋には一升瓶で五万円の日本酒もあるが、こいつも一桁間違える被害者を何人か作り出し続けている。この手の間違いはチョー恥ずかしいものだ。私がそのお客様でなくて良かった。小さなことを気に病むタイプなんだ私。

それではまた、ネガティブ姉妹が今日も行く行く、どこへ行く。ポジティブ義妹に聞いてくれ。


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