柿市こぼれ話


【1,000円以上お買い上げの方にプレゼント(2ヶまで)】

 以前から何度もこのコーナーで紹介したように、うちの酒屋にはお客様への素敵なプレゼントが用意されている。
1,000円以上お買い上げの方にプレゼント(2ケまで)と言うやつである。最初の頃はこのプレゼント用のかごにもまともな景品が入っていたのだが、今ではすっかり不用品置き場のような存在に成り果てている。

 であるから、かなり変ちくりんなものが投入されている。にもかかわらず、この景品に異常に執着されるお客様がたまにいらっしゃるので、話題に事欠かない。昨日もこの罪作りなかごが私にこぼれ話のネタをくれた。

 そのお客様は夕方遅くなってから来店された。半ズボンにビーチサンダルというラフないでたちだ。ほとんど迷うことなく500円の梅酒を選んでレジの前にいらっしゃり、こうおっしゃった。
「グラスをもらわなくちゃ。」
「えっ?」
「これを飲むのにグラスが要るでしょう?」確かにそれはそうだろうが…。そして景品のかごの中からプラスチックのグラスを取り出した。それは先日買ったプリンアラモードが入っていたカップで、捨てるにはちょっと惜しい可愛いさだったので、丹念に洗ってこのかごに入れておいたものだ。
「これって新品なんでしょうね?」 
「いえ、それはお菓子の入っていた容器なんですが…」
「こんなのやだな。しかもプラスチックだし。」念のために言っておくが、景品をもらってくれなどと私は言っていない。しかも、そのお客様はかごに付けられた1,000円以上お買い上げの方にプレゼント(2ケまで)の札をちゃんと見ている。わざわざ札を持ち上げていたからまちがいなく見ている。『お客様、あなた様のお買い物は500円なんですけど…』心の中で言ってみる。追い討ちをかけるようにお客様はおっしゃった。
「こっちなら貰ってもいいけど。」重ねて言うが貰ってくれなどと誰も言っていない。
「あちらの棚に手取川さんの枡がありますが・・・」何とか商売にならないものかと促しては見たのだが…
「お金出すのはちょっとね…」
「へっ?」私の口からとんまなうめきが漏れた。だめだ、この客私の理解の範疇を超えている。
「じゃあ、これでいいや。でもちょっと汚いから洗ってくれますか?」信じられん、信じられん…心の中でつぶやきながら私は景品のコーヒーカップを洗った。受け取ったお客様はさわやかに「ありがとう。」と言って去っていった。

 今起こったことは何なのだろう?ひょっとして私の方が変なのか?何か世の中が違った方に往きつつあるようなそんな気がした夕暮れ時の一コマである。


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