柿市こぼれ話


【史上最強の濁り酒 別名「酒の爆弾」】
 今日、何ヶ月も待ちに待った白藤酒造さんのお酒が届いた。おり酒としぼりたて、それに今年は濁り酒も仕入れてみた。先日いただいたお電話では、濁り酒の活性がかなり強くて吹き上がりやすくなっているので気をつけてくださいというお話だったので、さらに期待は高まっていた。
 ただドロドロしているだけの濁り酒なんてつまらない。出来ればピチピチとはじけるような元気の良い濁り酒であって欲しい。
 「とりあえず、飲んでみんなんやろ。」と、妹。  嬉しそうに届いたばかりの濁り酒を冷蔵庫から取り出してきた。見ると、緑色の瓶の中身がちょっと見たことの無い様相を呈していた。瓶の上部半分ほどの酒がムンムンといきっている。いかにもやる気満々というか、「さあ、俺、吹き上がるけんね。誰がなんて言っても、やってやるけん!!」てな感じだ。
 「危険だ。こいつは吹くぞ。」用心のためどんぶり鉢を用意した。たまたま居残っていた酒好きの社員が居たので、そいつも連れてきた。吹く瞬間を見せてやろうと思ってだ。私と妹、それに中田のオッサンの三人は期待に目を輝かせた。
 ピチッ。ほんの少し栓を緩めると、一瞬のうちに酒が口まで盛り上がり、わずかに開いた隙間からブシュブシュと白くにごった酒が漏れ始めた。
 「やっぱりな。」さも訳知り顔で、私は二人を見た。しばしのブシュブシュの後。
 「もういいだろう。」と私。薄くうなずく中田のオッサン。
 カチッ。         ブッシュー
 開け切ってもいない酒瓶の栓がぶっ飛び、真っ白な酒が店中に飛び散った。「何?何が起こったの?」その間も酒瓶は酒を吹き上げ続けている。
 ハッと気がつくと、私の前に体中白い斑点を散らした中田のオッサンが呆然と立ち尽くしていた。めがねのレンズもドロリと白い酒で覆われている。私といえば頭っから酒をかぶってドロドロになった酒瓶をまだ離さずに居た。
「何やこれ。こんなん有りかい?」
 つぶやく私を尻目に、薄々成り行きを察知していたらしい妹が2mぐらい離れた場所でそれでも白い酒を浴びていた。しかし、彼女の上着は酒のすぐそばに置き去りにされており、持つことさえためらわれるほどに白い斑点を浮き上がらせていた。
 瓶の中身は三分の一ほども残っていなかった。妹があわててどんぶりの中にたまった酒を杯でくみ上げてガッガツと飲んだ。見上げた酒飲みである。
 私たちはお互いの姿とドロドロになった店の中を見て大笑いしながらわずかに残った酒を飲んだ。奥能登の白菊の濁り酒はおいしかった。おいしくて、しかも笑えた。「来年も必ず仕入れよう。」心に決めたが、お客様に売るかどうかはまだ決めかねている。


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