柿市こぼれ話


【散々なお正月】

 あけましておめでとうございます。これがアップする頃は2月ですからちょっと遅すぎますが、原稿を作っているのは松の内なのでお許しください。

 さて、記念すべき創業100周年の年を終え、我社も新しく第一歩を踏み出そうとしております。が、がです。今年の元旦は私にとって今までの長い人生の中でも最もひどい年明けとなってしまいました。

 お正月の1日と2日だけは私と母もお休みをもらって、一年にたった2日の朝寝坊です。とっくに目が覚めているにもかかわらず、無理やりベッドに張り付いて、寝すぎで痛む背中をもてあましながらも昼まで寝てやりました。

 それでもすぐそばに、元旦早朝から働く社員の気配を感じながら小さくなって出てまいりました(自宅が会社の中にあるという悲しさです)。するとすぐに、「社長が葬式の札を出せなくて困っている。」とのこと。葬式の札とは、葬儀の祭壇脇に供える果物やお菓子などの盛り合わせに添える、提供者の名前や会社名などを書き込む立て札のことで、なんと今年は元旦からお通夜のリクエストがあったらしいのです。

 ところが、この札を打ち出している間に、どうやらパソコンがフリーズしてしまったらしいのです。あとたった2人分の札が出せずに、社長はすでに何時間もパソコンの前にビッタリと貼りつき状態になっておりました。社長とはいっても私にとっては弟です、何とか助けてやらなければなりません。

 そもそも、社長やその家族が日曜祭日もなしに働かなくてはならない、当社はそんな「三ちゃん農業」的な会社なのです。それはさておき、フリーズしたままビクリとも動かないパソコンに見切りをつけ、私は社長室のノートパソコンを立ち上げました。こいつの立ち上がりが又遅い。いったい何を入れたらこんなに遅くなるのかお聞きしたいところです。とはいえ私のパソコンもひどいものですが・・・

 社長室のパソコンにはつい先日義妹が「筆まめ」をインストールしていたはずです。なれないプログラムに四苦八苦しながらようやく札を作ったのですが、このパソコンにはプリンターが接続されていません。札を出すためのプリンターをインストールしなければならないのですが、このCDがどこを探しても見当たらないのです。

 その間に社長はメーカーの係りのかたや、当社の一番コンピューターに明るい社員に電話で助けを求めようとしたのですがどちらも振られてしまいました。さすがに元旦からでは無理があります。

 私はといえば、社長室のパソコンもあきらめて、一年ほど前まで使っていたパソコンを使うことを思いつきました。容量が小さくてすぐフリーズしてしまうようになったので新しいのに替えたのですが、故障しているわけでもなく、プログラムも搭載されています。ところが、これを立ち上げようとしてまたしても大きな壁です。電源コードをつながなくてはならないのですが、何台ものパソコンの裏側がどんなものか・・・・コードだらけでどれがどれにつながっているのかさっぱり分かりません。コードの洪水、コードの滝、毛細血管かもつれた毛糸玉のように絡み合うコード。そこに埃が降り積もって大変なことになっています。せっかく荷物や机をいくつも除けたけれど判別不能です。

 「ワシ、もう5時間以上こんなことしとる。」泣くような声で社長がぼやきます。「少しおせち料理でも食べて一息つくまっし。脳にブドウ糖が行かないといい考えも浮かばんよ。」私に促されて彼は一服しに行きました。

 仕方がないので私は自宅から自分のノートパソコンを持ってきて札を作ろうと試みました。私のパソコンには会社のプリンターもインストールされています。どうやらうまくいきそうだと思ったのですが、ふと見るとプリンターが替わっています。「そうだった、しばらく前にプリンターが壊れて新しいプリンターに替えたんだった・・・」ここでも挫折。どのプリンターのCDも見つからないのは先ほどの捜索で分かっています。

 そこにおせちを食べて少しほっこりした社長が帰ってきました。「ダメか・・・もうこうなったら、とりあえず名前だけプリントしてそれをコピー機で拡大してつじつまを合わそう。」何とかなりそうなパソコンは私のノートパソコンだけ。プリンターは自宅です。ノートにしては重すぎるパソコンを抱えて自宅に戻りプリントアウトしようとすると、インク切れの上ノズルが詰まっています。ついてない時ってこんなもんなのでしょうか?

 泣きそうになりながらインクを換え、ノズルクリーニングをしてやっとプリントした名前はそれでも少しかすれていて、しかもかなり小さな字です。字体だけはなんとかいつもの字体に近いようです。会社の事務所にとって返し、コピー機で拡大します。今度は微妙に大きすぎます。

 しかも拡大したためにさらに薄い印字です。弟と二人でまず字をマジックで濃く塗りつぶし、一字一字を切り離して余白を詰め、セロテープで貼り付けてもう一度コピー。やっとそれらしい札が出来上がりました。出番の社員が「ああ、腹へった。」とうめきながら、それでも嬉しそうに札を持って葬儀場に車で走っていきました。

 この時点で社長がこの仕事にとっかかってすでに八時間半経っていました。そして、ふと後ろを振り返ると、フリーズしていたはずのパソコンのプログラムが開いていたのです。「えっ、どういうこと?フリーズしていたんじゃないの?」社長も鼻先でスカンクに屁をかまされたような顔をしています。何がなんだかさっぱり分かりません。

 「とにかく、明日もあることだし、プログラムは閉じずにおこう。」そう言ってクリックするとなんともあっさりと葬式の札のサンプルが並びました。「どうなっているんだ?ひょっとしてメールも出来るようになったのか?」先ほどまで何回クリックしても開かなかったプログラムが簡単に開き、元旦に届いた数多くのメールが列挙されます。キツネにつままれたような心地でとにかくしなければならない仕事を先に進めました。

 どういうことなのでしょう?今もってこの日の苦難の原因が分かりません。フリーズしたわけではなかったのでしょうか?いくらなんでもクリックしてプログラムが開くのに4時間も5時間も掛かることなんてあるものなのでしょうか?わかりません・・・

 結局元旦はそれだけで力尽きてしまいました。

 翌日、コンピューターは正常に動いていました。ですが、またしても葬式の札が出せなくて社長がうなっていました。今度はプリンターの不具合でした。プリンターを別の高速プリンターに替えて対処しました。多少印字が良くないのですが、私も社長もそんなことはまったく気にならなくなっていました。しかし、メカに弱い社長がこんな仕事をしなければならないのがちょっとかわいそうです。何とかしなければならない当社の課題の一つというところです。


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