柿市こぼれ話


【ゴミの話】
 今回はゴミの話である。当節ゴミは社会問題だが、当社にとっても頭の痛い話だ。

 当社の本社は青果物業。主な仕事はそれぞれの取引先ごとに注文された品物をそろえ、配達することである。

 当然一番多いゴミは野菜の入っていた空き箱、むいた皮や、切り落とされた不要な葉っぱなどだが、その量が半端ではない。普通の家庭のようにゴミ置き場に持っていける量ではないので、契約したゴミ処理の会社の車が取りに来てくれることになっている。

 ところが、ゴミ収集車にはほとんどドライバー1人しかいない。この人が1人で当社の膨大な量のゴミを収集車に収納して去っていく。長いときには30分以上もかかって黙々と作業を続けている。もちろん当社はそれなりの金額を払っているわけだし、それでよいのかもしれないが、「こんなにたくさんの従業員が居るのだし、ちょっと手伝ってあげればほんの数分で終わってしまうに。」と、私は常々思っていた。

 先代の社長は(私の亡くなった父だが)自らゴミ捨てを手伝っていたし、収集車が去った後の掃除もしていた。「ゴミ掃除のオッサン」と思っていた外部の人も居たようである。『父さんが生きていたらきっと毎日ゴミ捨ての手伝いをしてただろうな・・・』ぼんやりと思いながらも、自分が手伝うことには思い至らなかった。

 ところが、気にして見ていると、そのゴミ収集車はかなりご近所迷惑な代物になっていることが分かってきた。何しろ大きな車なので、ご近所のかたがたの通行の邪魔になっている。それも何十分もの間である。もちろんゴミの臭いもあるし、ゴミを圧縮するための音もかなりうるさい。

 そしてとうとう、ご近所から苦情が出ているということが分かって私はゴミ捨ての手伝いをすることに決めた。相手がゴミなので、うちの社員たちにその作業を強要するわけには行かない。やっぱりゴミなんかには触りたくないという人の気持ちも分からないわけではない。

 と、いうわけで、私のゴミ捨てお手伝い作戦が始まった。ゴミ収集車のやってくる時間はお昼の12時と夕方の6時。夕方の方はいつも何人か手伝っているので数分で終わってしまう。問題はお昼のゴミ収集だ。従業員の中には誰に言われなくても手伝っている人は数人居るのだが、たまたまその時間にその人たちが居ないことには手伝いにならない。常にゴミのそばに居る人はほとんどゴミ捨ての手伝いなどしない。

 そこで私はお昼の12時には出来るだけ時間を作って、手伝うことにした。一刻も早くお引取り頂きたいので、がむしゃらに手伝った。なかなか大変な仕事である。晴れた日ばかりではない。雨の日は濡れる、寒い、ゴミが地面に貼りつく等でかなり厄介だ。しかも、たっぷりと雨がしみ込んだダンボール箱は重いばかりではなく、持ち上げると簡単に崩れ落ち、中に入れてあったゴミがなだれ落ちてくる。あまつさえ、ゴミを圧縮していると時に逆噴射のようにゴミから汚い汁がブシューっと噴出してきて、私を狙い撃ちする。

 それでもめげずに、ゴアテックスのレインウエアーを引っつかんでゴミを捨て続けた。見かねた妹が私に注意した。「あんた、そんなことやっとると、ゴミババアって呼ばれるよ。」ゴミババアでもゴミジジイでも言いたいやつには言わせておけ。私にとって一番大事なことはご近所に出来るだけ迷惑をかけないで営業を続けることだ。ここで暮らす私や母にはご近所からの苦情が心に刺さる。

 そうこうしているうちに当社で働いている叔母や義弟が私の異常行動に気がついた。そう異常と言ってよいほどの勢いで私はゴミを捨てていたからだ。もともと変わり者で通っているので、多少のことには身内の人たちは驚かない。それでも、何かに取り憑かれたようにゴミを捨てている姿は明らかに変だったらしい。彼らの号令の下、何人もの従業員が手伝ってくれるようになり、当社のごみ捨て時間は格段に短くなった。収集車のゴミの圧縮が間に合わないほどだ。

 ああ、よかった。もう私が手伝えなくても誰かがやってくれる。あんやと、あんやと。助かります。ほんとにあんやとね。みんな、これからもよろしくね。


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